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釧路に流氷は来る?

気象台の1946〜2025年の記録で分かる時期・頻度・直近は2017年3月。根室・厚岸・オホーツク側との違い

釧路で流氷が見られるのは「数年に一度」。釧路地方気象台の1946〜2025年の記録では流氷初日の観測は29回、2000年以降は5回(直近2017年3月22日〜4月5日)、接岸は1987年が最後です。流氷が太平洋側の釧路まで来る仕組み、来やすい時期、今シーズンの状況を確認できる公式情報、釧路から近い厚岸・根室の状況、参考として網走・紋別・北見常呂の平年値を公式情報で整理しました。

釧路の太平洋岸に流れ着いた流氷の帯と、冬の浜辺から沖の白い氷を眺める人を描いたイラスト

Illustration: くしろポータル編集部(AI生成イラスト・編集方針)

編集部
くしろポータル編集部

釧路市・釧路町在住の編集部が一次情報・公的機関データをもとに執筆。編集方針

この記事のポイント

  • 1釧路地方気象台は、根室海峡から太平洋に出た流氷が東風や親潮で運ばれたときに釧路地方でも「数年に一度」流氷が見えると説明している
  • 2気象台の統計(1946〜2025年)では釧路の流氷初日の観測は29回。1991〜2020年の30年間では6回しかなく平年値は作られていない。直近は2017年3月22日〜4月5日、接岸は1987年2月24日が最後
  • 3釧路から近い順では、厚岸(2017年3月29日に床潭へ流氷が来た・町公式)、根室(納沙布岬・2026年は2月17日初日、3月16日接岸、3月27日終日)。オホーツク海側は網走が平年1月22日初日・2月4日接岸で、別格に安定している

釧路でも流氷は見られます。ただし毎年ではなく、気象庁釧路地方気象台の言葉を借りれば「数年に一度」です。この記事では、同気象台が1946年から2025年まで続けた沿岸海氷観測の統計をもとに、釧路で流氷が見られた年・時期・直近の記録を整理し、太平洋側の釧路まで流氷が来る仕組み、今シーズンの状況を確認できる公式情報をまとめました。釧路から近い厚岸・根室の状況と、参考として網走・紋別・北見常呂のオホーツク海側の平年値も比較します。クルーズ船や釧路からのアクセスは釧路から流氷を見に行くガイドに分けているので、あわせてご覧ください。

結論:釧路の流氷は「数年に一度」。直近は2017年3月

釧路地方気象台は、釧路地方の冬を紹介するページで「数年に一度、流氷が見えることもあります」とし、「根室海峡を南下し、太平洋に流出した流氷が、東風や千島海流(親潮)によって、釧路地方まで運ばれた時に見ることができます」と説明しています。

実際の記録を見ると、同気象台が1946年から2025年まで行った観測で、釧路で「流氷初日」(視界外から漂流してきた流氷が視界内の海面で初めて見られた日)が記録されたのは29回です。2000年以降に絞ると2000年・2001年・2003年・2008年・2017年の5回で、直近は2017年です。1991〜2020年の30年間では6回しか観測されていないため、気象庁の平年値表で釧路の流氷初日・終日・期間は平年値が算出されていません(観測回数のみ「6」と記載)。

「流氷接岸初日」(流氷が接岸、または定着氷と接着して沿岸水路が無くなり、船舶が航行できなくなった最初の日)まで記録された年はさらに少なく、1959年の観測開始以降で9回、最後は1987年2月24日です。つまり、釧路では「沖に流氷の帯が見える」年が数年に一度あり、「港が流氷で埋まる」ほどの接岸はここ40年近く起きていない、というのが記録から分かる実像です。

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太平洋側の釧路まで流氷が来る仕組み

流氷の本場はオホーツク海です。海上保安庁第一管区海氷情報センターの解説によると、オホーツク海では11月下旬にシャンタル諸島周辺海域やサハリン湾で結氷が始まり、海氷はシベリア大陸沿いに幅を広げながらサハリン東岸沿いに南下して、1月中旬に北海道オホーツク地方の沿岸に接近します。1月下旬・2月上旬と季節が進むにつれて流氷は勢力を増し、3月中旬までにオホーツク海全体の8割が氷で覆われます。

そして最盛期には、宗谷海峡から日本海への流入や、「根室海峡・国後水道及び択捉海峡をとおり太平洋への流出」も見られるようになる、と同センターは説明しています。この根室海峡から太平洋へ出た流氷が、釧路地方気象台のいう「東風や千島海流(親潮)」に乗って西へ運ばれ、根室半島、厚岸、そして釧路の沖合に現れるのが、釧路で流氷が見える年のパターンです。

同センターの解説では、北海道オホーツク地方の沿岸は1月中旬に海水そのものが結氷温度となり、南下してきた流氷と沿岸域の海氷が混在して「流氷野」を作ります。一方、太平洋に面した釧路に来るのは、根室海峡などから太平洋へ流出した流氷が風と海流で運ばれてきたものだけです。「数年に一度」という頻度は、この太平洋への流出と、釧路へ向かう東風・親潮の条件が重なった年に限られる、と整理できます(この段落の整理は編集部によるものです)。

気象台の記録で見る釧路の流氷(2000年以降)

釧路地方気象台の沿岸海氷観測の統計から、2000年以降に流氷初日が記録された年を抜き出しました。「年」は前年12月〜当年5月の冬シーズンを指します。

年流氷初日流氷終日流氷期間流氷接岸初日
2000年2月26日2月26日1日なし
2001年2月2日3月14日41日なし
2003年2月24日3月16日21日なし
2008年3月6日3月10日5日なし
2017年3月22日4月5日15日なし

上記以外の年(2002年、2004〜2007年、2009〜2016年、2018〜2025年)は流氷初日の記録がありません。2025年5月で初終日の観測は終了しています。

統計期間全体(1946〜2025年)の極値は次のとおりです。

  • 流氷初日の最早:2月1日(1960年)/最晩:3月22日(2017年)
  • 流氷終日の最早:2月15日(1967年)/最晩:4月23日(1984年)
  • 流氷期間の最長:63日(1984年)
  • 流氷接岸初日の最早:2月20日(1974年)/最晩:3月31日(1961年)
  • 流氷接岸初日が記録された年:1961・1963・1964・1970・1974・1978・1981・1986・1987年の9回

なお、釧路では1993年から2001年まで、流氷期間内(流氷初日以後、流氷終日までの間)に限って海氷量の観測が行われていたこと、2004年以降は全官署とも全氷量のみの観測だったことが、気象庁の統計資料に注記されています。

釧路で流氷が来やすい時期は2月中旬〜3月

1946年以降に釧路で流氷初日が記録された29回の内訳は、初日が2月の年が19回、3月の年が10回です。最も早い初日が2月1日(1960年)なので、1月のうちに釧路で流氷が見えた記録はありません。終日は3月中〜下旬が多く、最も遅い年で4月23日(1984年)でした。

オホーツク海側の網走の平年値が「流氷初日1月22日・接岸初日2月4日」であるのに対し、釧路に流氷が届くとすれば、オホーツク海の流氷が最盛期を迎えて根室海峡から太平洋へ流れ出す2月中旬以降、3月いっぱいが本命です。「釧路に流氷が来た」というニュースを待つなら、この時期に根室・厚岸方面の流氷情報を追いかけるのが現実的です。

直近の実例:2017年3月、千代ノ浦海岸に流氷

直近で釧路に流氷が来た2017年は、気象台の記録では3月22日に流氷初日、4月5日に流氷終日で、流氷期間は15日間でした。3月22日は統計期間を通じて最も遅い流氷初日です。

ウェザーニュース(2017年4月1日掲載)によると、釧路市では3月22日に9年ぶりの流氷初日を記録し、南風が続いた3月25日以降に流氷が岸へ近づいて、千代ノ浦海岸や千代の浦の漁港に「びっしりの流氷」が寄せたと報告されています。気象台の記録で2017年の「流氷接岸初日」が空欄なのは、接岸初日が「沿岸水路が無くなり船舶が航行できなくなった日」という厳密な定義で判定されるためで、浜辺に流氷が寄せる光景と「接岸初日」の記録は別物と考えてください。

同じ2017年には、厚岸町の公式サイト「四季だより」(2017年3月29日投稿)が、床潭(とこたん)に流氷が来たこと(けっこう大きな塊で、浜で作業していた人の話ではその日に接岸)、少し前に末広海岸にも流氷が接岸したらしいこと、ピリカウタから大黒島方面を見ると水平線上に白く流氷が見えたことを伝え、「厚岸に流氷が来たのは久しぶりのことではないでしょうか」と記しています。根室海峡から太平洋に出た流氷が根室半島、厚岸、釧路へと運ばれるという気象台の説明と合う年だったと言えます。

今シーズン釧路に来ているか確認する方法

気象庁は2025年12月9日、稚内・網走・釧路の各地方気象台で行ってきた流氷初日・流氷接岸初日の目視観測を、2025年度の冬シーズンから終了すると発表しました。目視では観測されない地点や年が増えたことと、気象衛星ひまわりや数値予報技術で面的な海氷情報を全国で提供できるようになったことが理由です。今後「釧路で流氷初日」という気象台の発表はなくなるので、次の公式情報で確認します。

  • 気象庁「北海道沿岸域の海氷情報」:稚内・網走・釧路の沿岸海域(海岸から20海里)の海氷分布と明日までの見通しを、毎日08時頃に更新。モデルの予測にもとづくため、実際の分布と異なる場合がある点と、定着氷と流氷を区別せず「海氷」として表現している点は公式ページに明記されています
  • 海上保安庁 第一管区海氷情報センター「海氷速報」:冬季限定の提供で、2026年は1月4日に提供開始、4月22日で今季の提供を終了。海氷写真や船舶・航空機からの観測報告も見られます
  • 根室市観光協会「根室の流氷情報」:根室市と観光協会が毎日午前9時に根室市役所から定時観測し、流氷初日・接岸初日・終日を発表。根室に流氷が来ていれば、釧路方面に流れてくる可能性を考える材料になります

釧路市内で「どこの浜に行けば見えるか」は、年ごとに流氷の位置が違うため、事前に決めておける場所はありません。2017年のように千代ノ浦の海岸に寄った年もあれば、沖合に白い帯が見えるだけの年もあります。上の公式情報で釧路沿岸に海氷が示された日に、海の見える場所へ行くのが現実的です。

釧路から近い順に見る:厚岸・根室の流氷

釧路市内で待つより確率を上げたいなら、流氷が流れてくる上流側、つまり東へ向かいます。

厚岸:2017年3月に床潭へ接岸

前述のとおり、厚岸町の公式サイトは2017年3月29日に床潭に流氷が来たこと(末広海岸にも少し前に接岸したらしいこと)を伝えています。釧路と同じく毎年来るわけではなく「久しぶり」と書かれているので、厚岸も「来た年に見に行く」場所です。厚岸までの道のりや見どころは厚岸町ガイドと釧路〜厚岸〜霧多布ドライブにまとめています。

根室:納沙布岬は「流氷岬」。2026年は2月17日初日・3月16日接岸

根室市観光協会によると、根室の主な観察地は本土最東端の納沙布岬で、かつては「流氷岬」とも呼ばれるほど流氷が流れ込んでいました。ただし「近年は冬期に流氷が流れて来ない年もあります」とも案内されています。

根室測候所が無人化されたあと、根室市と根室市観光協会が流氷観測を引き継ぎ、毎日午前9時に根室市役所(2025年からは4階市民交流サロン)から定時観測しています。2026年の結果は、流氷初日2月17日(平年より6日遅い)、流氷接岸初日3月16日(平年より22日遅い。2025年は接岸なし)、流氷終日3月27日(平年と同じ)、流氷期間39日でした。根室市が公表している平年値は流氷初日2月11日・接岸初日2月22日・終日3月27日・期間45日です。

根室市が同じ資料で公表している近年の状況を抜粋します。

年流氷初日流氷接岸初日流氷終日流氷期間
2020年3月6日なし3月27日22日
2021年3月3日なし3月20日18日
2022年2月9日3月21日3月26日46日
2023年2月17日2月17日3月8日20日
2024年2月7日2月10日4月5日58日
2025年3月4日なし3月27日24日
2026年2月17日3月16日3月27日39日

接岸がない年もありますが、流氷初日そのものは2017年以降毎年記録されています。釧路から根室までのアクセスと周遊は釧路から根室への旅と根室市ガイドをご覧ください。

参考:オホーツク海側(網走・紋別・北見常呂)は別格

「今年は絶対に流氷を見たい」なら、オホーツク海側が確実です。気象庁の平年値(1991〜2020年)は、網走が流氷初日1月22日・流氷接岸初日2月4日・流氷期間75日、紋別が流氷初日1月24日・接岸初日2月9日・期間66日(紋別は2007年に観測終了)です。釧路では平年値が作れないほど少ないのに対し、網走では毎年1月下旬〜2月上旬に流氷が接岸するのが「平年」です。

網走では2026年から気象台に代わってオホーツク流氷館・網走市が天都山展望台で観測しており、2026年は1月22日に流氷初日(平年と同じ)、2月1日に流氷接岸初日(平年より3日早い)を発表しました。

北見市は内陸の街というイメージがありますが、自治区の一つである常呂町でオホーツク海に面しています。北見市公式サイトは、常呂の北見市交通ターミナルについて「ターミナル裏はオホーツク海となっており、流氷を見るには絶景のポイント」と案内しています。常呂には北見市・佐呂間町・湧別町にまたがる日本最大の汽水湖サロマ湖があり、地元の土にホタテやカキ、海藻の釉薬で焼き上げ「流氷の厳しさを表現した」という「ところ流氷焼」の体験施設(常呂町手工芸の館・北見市常呂町字土佐2番地34)もあります。

網走の砕氷船おーろら、紋別のガリンコ号、羅臼の根室海峡クルーズと、釧路からの距離・日帰り可否は釧路から流氷を見に行くガイドで比較しています。

釧路で流氷を見るときの注意

  • 流氷の上には乗らない。見た目より薄い氷や、割れ目・隙間があり、風で沖へ離れることもあります
  • 冬の海岸は海からの風で気温以上に体感温度が下がります。釧路の冬の楽しみ方で紹介している3層の服装に、顔を覆える防寒具を足してください
  • 海岸へ向かう道は凍結しやすく、駐車スペースも雪で狭くなります。釧路の冬道運転ガイドを事前に確認を
  • 同じ時期の釧路はオオワシ・オジロワシやタンチョウの観察シーズンでもあります。流氷が来ない年でも冬の見どころは釧路のバードウォッチングで紹介しています

Q1. 釧路で流氷は見えますか?

A: 見える年があります。釧路地方気象台は「数年に一度、流氷が見えることもあります」としており、1946〜2025年の観測では流氷初日の記録が29回、2000年以降は2000・2001・2003・2008・2017年の5回でした

Q2. 釧路に最後に流氷が来たのはいつですか?

A: 気象台の記録では2017年で、3月22日に流氷初日、4月5日に流氷終日(15日間)でした。釧路で流氷が接岸(沿岸水路が無くなり船舶が航行できない状態)した記録は1987年2月24日が最後です

Q3. 釧路に流氷が来るのは何月ですか?

A: 記録では流氷初日の最早が2月1日(1960年)、最晩が3月22日(2017年)で、2月中旬〜3月が中心です。1月に釧路で流氷が見えた記録はありません

Q4. なぜ太平洋側の釧路に流氷が来るのですか?

A: オホーツク海の流氷が最盛期に根室海峡・国後水道・択捉海峡を通って太平洋へ流れ出し、東風や千島海流(親潮)で釧路地方まで運ばれるためです(釧路地方気象台・海上保安庁の解説より)

Q5. 今シーズン釧路に流氷が来ているかはどこで分かりますか?

A: 気象庁「北海道沿岸域の海氷情報」(釧路沿岸・毎日08時頃更新)と、海上保安庁第一管区海氷情報センターの海氷速報で確認できます。気象台の目視観測による「流氷初日」の発表は2025年度冬から終了しました

Q6. 釧路から一番近くて流氷が来やすいのはどこですか?

A: 根室の納沙布岬です。根室市の観測では2017年以降毎年流氷初日が記録され、2026年は2月17日初日・3月16日接岸でした。厚岸にも2017年3月に流氷が来た記録(町公式)があります

知っておきたいポイント

  • 1釧路の流氷は「数年に一度」。気象台の記録では2000年以降に見られたのは2000・2001・2003・2008・2017年の5回だけ
  • 2見られた年の多くは2月中旬〜3月。直近の2017年は3月22日に初日、4月5日に終日で15日間だった
  • 3今シーズン来ているかは、気象庁「北海道沿岸域の海氷情報」(釧路沿岸・毎日08時頃更新)と海上保安庁の海氷速報で確認する
  • 4確実に見たい年は根室(納沙布岬)か、網走・紋別のオホーツク海側へ。根室は2026年に2月17日初日・3月16日接岸だった
  • 5流氷の上には絶対に乗らない。海岸は風で体感温度が下がるので、防寒と冬道対策を万全に

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この記事の信頼性について

著者

くしろポータル編集部

最終更新

2026-10-06

出典の最終確認

2026-10-06

本記事は北海道釧路市・釧路町を生活拠点とするくしろポータル編集部が、釧路在住者の視点で執筆。公的機関の一次情報・現地確認・公式サイト・在住者の経験を基にリサーチし、 固有名詞・数値は公式サイト等の一次情報で確認し、確認に使った情報源は下の「参考にした公式情報」に掲載しています。詳しい品質管理プロセスは編集方針をご覧ください。

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