「釧路に1週間から数か月、腰を据えて滞在したい」。この記事は、観光より長く、移住より手前の長期滞在を始めるための実務ガイドです。
釧路市は長期滞在の受け入れに取り組んでおり、滞在者数の公表、専用の会員カード、物件を紹介する研究会(2009年6月設立)まで体制が整っています。
滞在者数のデータ、住まいの探し方、1か月の費用、使える制度、需要が少ない冬の滞在、2026年12月の東京PRイベントまで、2026年10月30日時点で確認できた公式情報だけを根拠にまとめました。
夏に限った住まい選びや二拠点生活のモデルは「釧路で夏だけ移住・二拠点生活」で詳しく扱っています。この記事は長期滞在制度そのものの全体像が目的です。
結論:釧路の長期滞在は「4日以上・制度つき」で始められる
釧路市の長期滞在の定義は、仕事やスポーツ以外の目的で連続4日以上滞在すること。ホテルでも賃貸でも、この条件を満たせば市の制度の対象です。
期間と目的で入口が変わります。まず自分がどの型かを決めると、住まいと制度の選び方が定まります。
| 滞在期間 | 住まいの主な選択肢 | 使える制度 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 4日〜2週間 | ホテル・マンスリー短期プラン | メンバーズカード・コワーキング利用券 | お試し、ワーケーション |
| 2週間〜2か月 | 研究会紹介のマンスリー・ホテル長期 | メンバーズカード・コワーキング利用券・図書館貸出(10日以上) | 避暑、冬の滞在、二地域居住の下見 |
| 2か月以上 | ちょっと暮らし住宅・民間マンスリー・賃貸 | 上記すべて・地域学習講座 | 二地域居住、移住前の生活体験 |
研究会のFAQによると、滞在期間は数日から1〜2か月が中心で、半年以上滞在する人もいます。
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釧路の長期滞在者数と特徴(公式データ)
釧路市は長期滞在者数を毎年度公表しています。直近の推移は次のとおりです。
| 年度 | 滞在者数 | 延べ滞在日数 |
|---|---|---|
| 令和7年度 | 2,364人 | 31,628日 |
| 令和6年度 | 2,797人 | 30,572日 |
| 令和5年度 | 2,026人 | 25,148日 |
| 令和4年度 | 2,267人 | 23,726日 |
| 令和3年度 | 1,362人 | 17,087日 |
| 令和2年度 | 1,644人 | 17,445日 |
出典:釧路市「そもそもくしろってどんなまち?」(令和7年度は1,525組)
人数は令和6年度が過去最多で、令和7年度は人数が減った一方、延べ滞在日数は過去最多を更新しました。1人あたりの滞在が長くなっています。
北海道が取りまとめる体験移住「ちょっと暮らし」の実績では、釧路市は平成23年度から15年連続で全道1位です。
誰が、いつ来ているか
釧路市が2025年8月に策定した「釧路市二地域居住等促進戦略」には、滞在者の属性が整理されています。
- 来訪時期は6〜9月が73%。11〜4月の滞在は7%にとどまる
- 1組あたりの平均滞在日数は17日
- 2024年度の滞在者の93%が60代以上
- 来訪のきっかけは「観光地として魅力的」30%、「夏の涼しさ」28%、「グルメの魅力」15%、「リピーター」13%(2023〜2024年度・682件・複数回答)
同戦略には8月の平均最高気温の比較も載っています。2024年の釧路市は24.5℃で、東京都33.6℃、大阪府35.4℃と10℃前後の差があります。
住まいの探し方:研究会・ちょっと暮らし・民間マンスリー
釧路の長期滞在物件は、まとまった一覧や相場表が公開されていません。実務上の入口は次の3つです。
1. くしろ長期滞在ビジネス研究会に希望期間を伝える
研究会(事務局は釧路市役所市民協働推進課内)は、希望の期間に合わせてホテルやマンスリーマンションなどの物件を紹介しています。
会員は不動産会社・ホテル・交通・飲食など多業種で、公式サイトに会員一覧があります(市の戦略資料では2025年8月末で59団体)。
2026年度は滞在施設の一覧と資料集を取りまとめ中で、完成次第配布するとしています。問い合わせは事務局 TEL 0154-31-4538です。
2. 釧路市の「ちょっと暮らし」住宅
釧路総合振興局がまとめる釧路管内の「ちょっと暮らし」体験住宅のうち、釧路市分は昭和中央貸家(5LDK・民間事業者が管理)で、利用期間1か月以上・利用料金200,000円〜、別途保証料50,000円です。
厚岸町・浜中町・標茶町・弟子屈町・鶴居村・白糠町にも体験施設があります。
3. 民間のマンスリーマンション
釧路市内のマンスリーマンション「みなと21」は最低1週間から利用でき、3か月以上の長期出張プランはシングルで合計144,460円/月(家賃109,500円+退去清掃費の月割、公式料金表)、ツインは153,920円/月です。
料金は改定されることがあるため、契約前に公式の料金表で確認してください。
このほか、研究会に加盟していないホテルや民泊も選択肢になります。冬は観光需要が落ち着くため、宿泊施設の長期プランは夏より選びやすくなります。
研究会は宿泊費の相場を公開していません。希望の予算を伝えて複数の候補を出してもらい、保証金や光熱費の扱いを契約前に確認してください。
費用の目安(1か月滞在)
公式に確認できた数値だけで、1か月滞在の宿泊費を比べます。光熱費・食費・交通費は施設と個人差が大きいため含めていません。
| 住まい | 契約条件 | 宿泊費目安(1か月) |
|---|---|---|
| みなと21(長期出張プラン・シングル) | 3か月以上 | 144,460円(家賃+退去清掃費の月割) |
| 釧路市 昭和中央貸家(ちょっと暮らし) | 1か月以上 | 200,000円〜(利用料金・別途保証料50,000円) |
| ホテル・研究会紹介物件 | 期間により変動 | 公表なし(要問い合わせ) |
コワーキング利用券を使えば仕事場の費用を最大20,000円分(1日1,000円×20日)抑えられます。
車は生活に必要になる場面が多く、レンタカーのマンスリープランは「釧路で夏だけ移住・二拠点生活」にまとめています。生活費全般は「釧路の生活費」を参照してください。
滞在中に使える制度
くしろステイメンバーズカード
釧路市に長期滞在・二地域居住している人が、市内の一部施設を釧路市民と同じ条件で使えるカードです。
- 受付開始:令和8年4月1日(水)〜
- 対象:釧路に長期滞在する人、二地域居住する人。出張・スポーツ・政治活動・街宣活動・宗教活動・公序良俗に反する活動が目的の滞在は対象外
- 必要書類:滞在施設の契約書または領収書などの写し、申請書(アンケート含む)
- 申請先:釧路市役所本庁舎2階 市民協働推進課(TEL 0154-31-4504)
- 有効期間:発行された年度内のみ。1人1枚、本人のみ使用可
令和8年度の特典一覧表(釧路市公式PDF)から、主なものを抜き出しました。
| 施設・店舗 | 特典 |
|---|---|
| 釧路市立美術館 特別展 | 観覧料100円割引 |
| 北海道立釧路芸術館 | 特別展100円引き・コレクション展50円引き |
| 市内の図書館(中央・東部・中部・西部・音別・阿寒町) | 10日以上の滞在者は図書貸出可(利用者カード作成が必要) |
| くしろ市民大学・ライフアップ講座・阿寒シルバー大学 | 受講可(受講料・実費は別) |
| 山花温泉リフレ | 入浴料120円割引(受付でカード提示) |
| 釧路市ふれあいホースパーク | 引き馬50円割引 |
| 複数の公共施設 | 65歳以上は入館料や遊泳料が50%割引または無料(対象施設は特典一覧表PDFで確認) |
| 釧路和商市場 | 販売商品5%割引(和商の日を除く・他割引と併用不可) |
| 釧路夕日観光クルーズ船 SEA CRANE | サンセットクルーズ乗船料10%割引(出航期間4/29〜12/31・水曜定休) |
| Digital Station デジラポ | コワーキングエリア利用料が2時間まで無料 |
| 釧路新聞社 | 釧路新聞電子版 約1か月無料購読 |
| くし炉あぶり家・くしろ駒形家 | 会計から10%OFF(他券併用不可・店内飲食のみ) |
| 釧路市民活動センターわっと | 喫茶メニュー50円割引・レンタサイクル初乗り1時間延長 |
釧路市動物園、阿寒国際ツルセンター、旧太平洋炭礦炭鉱展示館など一覧にない施設は対象外です。特典は追加・変更があるため、申請時に最新の一覧表を確認してください。
コワーキングスペース等利用促進モデル事業(利用券)
研究会が、登録コワーキングスペース等の利用料を1日あたり1,000円分助成する利用券を発行しています。
- 上限:滞在日数分・最大20日分。再発行不可
- 対象者:釧路・根室・オホーツク・十勝の各振興局管内以外の自治体に住民登録している人
- 受付期間:2026年6月1日(月)〜2027年3月31日(水)。申請順に発行し、予算を超えた時点で終了
- 提出書類:利用券発行申請書、暴力団等排除の誓約書、住所確認書類の写し、滞在先と宿泊数が分かる資料の写し
- 受付:釧路市役所 市民協働推進課内 事務局(8:50〜17:20)。使用終了後2週間以内にアンケート提出
コワーキングスペースの一覧は「釧路のワーケーションガイド」で扱っています。
地域学習講座・交流会
釧路市は長期滞在者(ビジネス以外の目的で4日以上滞在する人)を対象に、地域学習講座と交流会を毎年度開いています。令和8年度の詳細は市の案内ページで順次公開されます。
研究会も春の観光バスツアー(2026年5月16日・参加料6,500円・定員30名)のような滞在者向け企画を行っています。
冬の長期滞在という選択
市のデータでは11〜4月の滞在は全体の7%。市自身が「夏季偏重」を課題に挙げ、年間を通した滞在を増やそうとしています。
釧路市は公式サイトで、北海道の中では雪が少なく、冬は晴れの日が多いと紹介しています。宿泊施設や物件が夏より選びやすいことも、冬の滞在の利点です。
冬の釧路で見られるものは、別記事で詳しくまとめています。
- タンチョウの観察:「釧路のタンチョウ観察ガイド」
- SL冬の湿原号:「SL冬の湿原号の乗り方」
- 阿寒湖の氷上イベント:「阿寒湖氷上フェスティバル」
- 冬の暮らしの注意点:「釧路の冬の暮らし」
冬の寒さと路面は夏とは別物です。暖房費の目安や冬の運転は「釧路の冬の暮らし」で確認してから滞在期間を決めてください。
手順:長期滞在を始めるまで
- 滞在時期と期間を決める(4日以上なら長期滞在として制度の対象)
- 研究会事務局(0154-31-4538)に希望期間・予算を伝え、ホテル・マンスリーの候補を受け取る。民間マンスリーやちょっと暮らし住宅も並行して問い合わせる
- 契約し、契約書または領収書の写しを手元に残す(カードと利用券の申請に使う)
- 釧路到着後、市役所本庁舎2階 市民協働推進課でくしろステイメンバーズカードを申請する
- 道東以外に住民登録があり、コワーキングを使う人はコワーキング利用券も同じ窓口で申請する
- 滞在中は地域学習講座・交流会、研究会の企画を確認し、年度が替わったらカードを再申請する
必要なもの
- 滞在施設の契約書または領収書の写し(カード・利用券の両方で必要)
- 住所確認書類の写し(運転免許証・マイナンバーカードなど。利用券と図書館カードで必要)
- 滞在先と宿泊数が分かる資料(利用券)
- 利用券発行申請書・誓約書(様式は研究会サイト)
- 65歳以上の割引を使う人は年齢が分かる身分証
窓口・相談先
| 内容 | 窓口 | 電話 |
|---|---|---|
| メンバーズカード申請・長期滞在全般 | 釧路市 総合政策部 市民協働推進課(市役所本庁舎2階・釧路市黒金町7丁目5番地) | 0154-31-4504 |
| 物件紹介・コワーキング利用券・交流企画 | くしろ長期滞在ビジネス研究会 事務局(市民協働推進課内) | 0154-31-4538 |
移住まで視野に入れる人は「釧路移住ガイド」と「釧路移住のメリット・デメリット」もあわせて読んでください。
2026年12月4日 東京で長期滞在・二地域居住のPRイベント
釧路市が主催する「釧路の長期滞在・二地域居住 PRイベント」が、2026年12月4日(金)18:30から東京・天王洲で開かれます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日時 | 2026年12月4日(金)18:30〜 |
| 会場 | 天王洲EZOHUB TOKYO(東京都品川区東品川2丁目2-28 タチバナビル1F) |
| 参加費 | 2,000円 |
| 定員 | 60名 |
| 対象 | 釧路での長期滞在・二地域居住に関心のある人(家族・友人同伴歓迎) |
| 内容 | 地域の魅力紹介、ゲストトーク(阿寒湖畔 東邦館代表兼国立阿寒国際スキー場所長、THE GEEK 代表取締役社長、越境社員ドットコム 代表取締役)、交流会 |
| 主催 | 釧路市(受託事業者:とっかいどう株式会社) |
| 申込 | 公式ページの申込フォーム。定員に達し次第終了 |
関東在住で冬〜来夏の滞在を考えている人は、現地の事業者に直接相談できる機会です。終了時刻と申込締切は公式ページに記載がないため、申込前に確認してください。
市の戦略:2031年度に年間1万人へ
釧路市二地域居住等促進戦略(2025年8月)は、現状の課題を2つ挙げています。滞在者の9割以上が60代以上で現役層が少ないこと、夏季に偏り物件投資が進まないことです。
目標値は次のとおりです。
| 指標 | 現状 | 2031年度の目標 |
|---|---|---|
| 年間滞在者数 | 約2,800名 | 10,000名 |
| 滞在日数 | 約31,000日 | 200,000日 |
| 滞在施設戸数(ホテル除く) | 約160戸 | 600戸 |
市は空き家・空き室を長期滞在施設に改修する費用の補助(長期滞在施設整備支援事業。令和8年度は優先採択で予算上限に達し通常受付なし)や、二地域居住者向けの受け入れ環境整備を進めています。
滞在者アンケートで多かった要望は、滞在施設の拡充、公共交通の充実、飲食店の夜の営業時間延長、情報発信の充実でした。
制度の変更は市の長期滞在ページで追えます。
最新状況
よくある質問
Q1. 釧路の長期滞在は何日からですか?
A: 釧路市は仕事・スポーツ以外の目的で連続4日以上の滞在を長期滞在と定義しており、4日以上ならメンバーズカードなどの制度を使えます。
Q2. ホテルに連泊しても長期滞在の制度は使えますか?
A: 使えます。メンバーズカードの申請にはホテルの領収書など滞在を証明できる書類の写しが必要で、賃貸契約でなくても構いません。
Q3. 長期滞在向けの物件はどこで探せますか?
A: くしろ長期滞在ビジネス研究会(事務局 0154-31-4538)に希望期間を伝えると、会員の不動産会社やホテルの物件を紹介してもらえます。相場表は公開されていないので複数候補を比べてください。
Q4. 冬に長期滞在する人はどのくらいいますか?
A: 11〜4月の滞在は全体の7%(2024年度)で少数です。釧路市は雪が少なく晴れの日が多い冬を売りにしており、宿や物件は夏より選びやすい時期です。
Q5. コワーキング利用券は誰でももらえますか?
A: 釧路・根室・オホーツク・十勝の各管内以外に住民登録している人が対象で、1日1,000円分・最大20日分、受付は2027年3月31日までです。道東在住者は対象外です。
まとめ
釧路の長期滞在は、4日以上滞在すれば市の制度が使える仕組みが整っています。令和7年度は2,364人が滞在し、延べ日数は過去最多でした。
住まいは研究会への問い合わせから始め、到着後に市民協働推進課でメンバーズカードとコワーキング利用券を申請する流れが基本です。
滞在者の7割が夏に集中する分、冬は選択肢が広い時期です。2026年12月4日の東京PRイベントは、現地の事業者と直接話せる機会として使えます。
公式サイト・参考リンク
- 釧路市 そもそもくしろってどんなまち?(長期滞在者数の推移)
- 釧路市 長期滞在に関すること
- 釧路市 くしろステイメンバーズカード
- くしろステイメンバーズカード特典一覧表(令和8年度・PDF)
- 釧路市二地域居住等促進戦略(2025年8月・PDF)
- 釧路市 地域学習講座・交流会(令和8年度)
- 釧路市 長期滞在施設整備支援事業
- くしろ長期滞在ビジネス研究会
- くしろ長期滞在ビジネス研究会 Q&A
- コワーキングスペース等利用促進モデル事業
- くしろ長期滞在ビジネス研究会 新年度がスタートしました(2026年4月3日)
- 釧路総合振興局 ちょっと暮らし(釧路管内)
- マンスリーマンション みなと21
- 釧路の長期滞在・二地域居住 PRイベント 2026.12.04(ENJOY KUSHIRO)












