釧路市(釧路・阿寒・音別)の農業は、冷涼な気候と海霧、低位泥炭土壌という条件のもと、乳用牛を中心とした草地型酪農を基幹に、市街地周辺の野菜経営が組み合わさって成り立っています。釧路市「釧路市の農業概要2023」によると、農家戸数は183戸、乳用牛14,012頭・肉用牛5,492頭(いずれも2023年度)。本記事では市公式データをもとに、釧路市の農業の構造と産出額、特産品・ブランドの中身を数字で整理します。
釧路市の農業を形づくる自然条件
釧路市は2005年10月11日に旧釧路市・阿寒町・音別町が合併して誕生した都市で、面積1,363.29㎢、人口155,880人(令和6年3月)です。太平洋に面する冷涼な気候に加え、夏場に発生する海霧、水はけの悪い低位泥炭土壌という条件が重なり、稲作や畑作より牧草地を活用した酪農に適した土地とされています。この条件を背景に、釧路市の農業は郊外の草地型酪農と、市街地周辺で行われる野菜経営という二本柱で構成されています。
データで見る釧路市の農業|農家183戸・乳用牛14,012頭
釧路市の農業委員会データ(2023年度版「釧路市の農業概要」表2)によると、市内の農家戸数と主な家畜の飼養頭数は次のとおりです。
| 区分 | 釧路地区 | 阿寒地区 | 音別地区 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 農家戸数 | 45戸 | 95戸 | 43戸 | 183戸 |
| 乳用牛 | 3,468頭 | 6,747頭 | 3,797頭 | 14,012頭 |
| 肉用牛 | 562頭 | 4,725頭 | 205頭 | 5,492頭 |
このほか馬331頭、採卵鶏17,859羽が飼養されています(豚は企業経営のため非公表)。農家戸数・飼養頭数ともに阿寒地区が最も多く、釧路市の畜産の中心的な地域であることが分かります。農業振興地域の面積は総面積33,529ha、うち農用地区域は11,870haです。
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農業産出額107.2億円(令和4年)の内訳
北海道農林水産統計年報をもとにした釧路市の農業産出額(2023年度版「釧路市の農業概要」表4、単位:千万円)は、令和4年(2022年)に総額1,072(107.2億円)でした。内訳は乳用牛826(うち生乳737)・肉用牛90・野菜36・鶏卵29で、乳用牛と生乳を合わせた酪農部門が産出額全体の約8割弱を占めています。
過去の推移を見ると、令和元年1,080(108.0億円)、令和2年1,092(109.2億円)、令和3年1,112(111.2億円)、令和4年1,072(107.2億円)と推移しており、酪農を基幹とする産出構造は年による変動はあっても大きくは変わっていません。
生乳の行き先と酪農を支える営農支援の仕組み
釧路市内で搾乳された生乳は、市内にある「よつ葉乳業根釧工場」へ搬入されるほか、一部は道外へも輸送されています。酪農経営を支える営農支援の仕組みとしては、次のような施設・制度が整備されています。
- TMRセンター:粗飼料と濃厚飼料を混ぜた完全混合飼料(TMR)を農家に代わって調製・配送する施設
- 有機質肥料活用センター:家畜排せつ物などを有機質肥料として活用する施設
- 釧路市牧場(公共牧場):育成牛などを預託できる公共の牧場
- 酪農ヘルパー:農家の休日に搾乳などの作業を代行する仕組み
- 搾乳ロボット:省力化のため導入が進む機械
生乳生産のより広域なデータ(釧路管内全体の乳用牛頭数やJA別の受託乳量など)は、釧路・根釧エリアの酪農ビジネスで解説しています。
特産野菜|白菜・ほうれんそう・キャベツ・大根など約40種類
釧路市の野菜生産は、葉菜・根菜を中心に約40種類にのぼります。中でも白菜・ほうれんそう・キャベツ・大根の4品目が特産品として位置づけられ、野菜の販売総額の大半を占めています。
これらの野菜は、1973年に完成した中央卸売市場(現在の公設地方卸売市場)を経由する系統販売が中心ですが、一部の生産者は自ら直売所を設けて販売するほか、札幌市場へも出荷されています。また法人経営のハウス栽培では、パプリカやイチゴといった品目も生産されています。生乳・肉牛・野菜の域外への出荷の全体像は、釧路の農水産物の域外出荷と輸出でまとめています。
肉用牛のブランド化|阿寒丹頂黒和牛とeビーフ
釧路市の肉用牛経営は、乳用種を活用した経営が主体です。そのうえで、黒毛和種を使った牛肉は「阿寒丹頂黒和牛」としてブランド化されており、アバディーンアンガス種を使った牛肉は「eビーフ」として主に首都圏へ出荷されています。差別化の一例として、ビール酵母を飼料に活用する生産者もいます。
釧路管内(根釧)全体の酪農との違い
ここまで紹介したのは釧路市(釧路・阿寒・音別)単独のデータです。釧路市を含む釧路総合振興局管内には標茶町・弟子屈町・鶴居村・白糠町・厚岸町・浜中町も含まれ、管内全体では乳用牛・生乳生産量はさらに大きな規模になります。管内のJA別の乳用牛頭数・生乳受託量や「根釧酪農ビジョン」などの広域的な取り組みは、釧路・根釧エリアの酪農ビジネスで解説しています。また、新規就農や6次産業化を検討する方は、釧路の農業ビジネス参入ガイドもあわせてご覧ください。
買える場所・取り寄せ
釧路市の農畜産品は、次のような場所で購入・取り寄せができます。
- 釧路市ふるさと納税公式サイト:阿寒モルト牛・阿寒ポーク・エゾシカ肉・チーズなどの返礼品を掲載(kushiro-furusato.jp)
- JAくしろ太田 Aマート釧路太田店:「あっけし極みるく65」「あっけし極びいふ」を販売(JAくしろ太田公式サイト)
- 道の駅阿寒丹頂の里(阿寒マルシェ):阿寒地区の農畜産品を扱う直売コーナーがある(阿寒観光協会公式サイト)
Q1. 釧路市の農家戸数はどれくらいですか
A: 釧路市「釧路市の農業概要2023」によると、農家戸数は183戸(釧路地区45・阿寒地区95・音別地区43)です
Q2. 釧路市の酪農にはどんな特徴がありますか
A: 冷涼な気候・海霧・低位泥炭土壌を背景に、乳用牛14,012頭を飼育する草地型酪農が基幹産業になっています
Q3. 釧路市の農業産出額はいくらですか
A: 令和4年の農業産出額は107.2億円で、乳用牛(生乳含む)が826千万円と最も大きな割合を占めます
Q4. 釧路市の特産野菜は何ですか
A: 白菜・ほうれんそう・キャベツ・大根など約40種類の野菜が栽培され、公設地方卸売市場や札幌市場へ出荷されています
Q5. 釧路市のブランド牛肉には何がありますか
A: 黒毛和種を使った「阿寒丹頂黒和牛」と、アバディーンアンガス種を使い首都圏中心に出荷される「eビーフ」があります







